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2008/10/31

見知らぬ男

 枕元に置かれた携帯電話がやかましく鳴っている。シンプルな構成で不快な音を連続させるだけの血も涙もない電子音。こいつには『アラーム音1』という捻りのない名前がつけられている。
 スヌーズ機能を使い10分後にまたアラームが鳴るようにセットする。これは俺の「今日」という日が始まってから一番最初にするささやかな抵抗だ。
 10分間だけの幸福な世界に戻る前、部屋全体をぼんやりと見わたす。太陽の光を浴びてカーテンが淡く光り輝き、部屋全体を影にしている。


 この男はどこから入ってきたのか。薄暗い部屋の中に見知らぬ男が立っている。俺は驚いて10分間の世界へ戻る道を急いで逆走する。
 その間も男は帽子を深くかぶってうつむいたままだ。おまけに顔が影になってよけいによく見えない。こいつは泥棒なのか変質者なのか、あるいは俺を殺そうとしているのか。
 その男は何も喋らず、少しも動こうとしない。ただそこにうつむいて立っている。
 いや、こいつは本当に立っているのか?まったく生気がなく、首を吊っているように見えるのは気のせいか。


 部屋にね、衣類かけがあるんですよ。ホームセンターで1980円くらいで売ってるような。足にコロコロが付いてて移動が簡単!便利!お買い得!
 でね、それの高さが170~180cmくらいなんですけど、そこに帽子をひっかけてたんですよ。ちょうど良いんですよ。そしたらその帽子が「頭」、衣類が「体」に見えた。
 寝起きのボーっとした頭だと特に。あと目が悪いんで裸眼だともう完全に人。寝起きに命の危険を感じるほどビックリするとかホント心臓に良くないと思う。ホントにしばらくドキドキする。100歩ゆずって水着のお姉さんに見えて欲しい。

 それもちょっと巨乳だったりするわけだよね。で、「おはよ」って言って欲しい。そのまま「おじゃましまーす」って言って俺のベッドにもぐりこんで「あー、すごい暖かい。ワタシ冷え性なんだ」って言って欲しい。そういうドキドキがいい。そういう、びっくりドキドキが欲しい。

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