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2010/07/15

鼻毛を抜いた。

私の鼻毛は根元まで黒々と墨汁を吸いとり、まっすぐに美しく整った筆先のよう。
この灰色の雲の空から風に舞い、一筋の流線を描きながら落ちてくる雨の雫のごときしなやかな鼻毛。

鼻毛は私を父親にさせる。
幼き少女だったはずの娘が気付かぬうち美しい淑女へと変貌を遂げ、嫁ぎにやる当日の朝を迎えた父親のような気持ちに。

人生というものが生まれる瞬間、人生は引き換えに激しい痛みを要求してくる。
太陽が光り輝く朝を迎えるためには何も見えぬ暗黒の空を必要とするように。

鏡に光を反射させ、その光をいつも暗黒に包まれている鼻の奥まで届かせてやる。
それは彼ら鼻毛を最後に照らすスポットライトだ。

毛抜きが鼻毛を掴み引き抜く時、肌の奥にツンとした痛みを走らせる。
その引き換えに何物にも代えがたい達成感と大きなくしゃみを私に与えてくれる。

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